昼下がり、私は何もしないのにエナジードリンクを飲みました。
雨が降る音で目を覚ました。
ヤバい。干していた布団を取り込まないと。
Vtuberだって、洗濯物を干す。
慌ててソファーから飛び起き、さっきまで風に揺られていた洗濯物を物干しからひったくり、部屋にぶち込んだ。
危ない危ない。危うく今日の寝床が床になってしまうところだった。
ホッとすると頭が冷静になるもんで、様々な異変に気づいた。
部屋は蒸し暑く、喉もカラカラ。心なしか頭も少し痛い。
軽く脱水気味になっていた。
Vtuberだっていくら仮想世界の住人といえど、肉体があり汗もかく訳だから、水分は必要だ。
冷蔵庫を開けると、ボトル缶のエナジードリンクが一本。
寝覚めでボーッとしている私はそれを手に取った。
蓋を開ける。爽やかな開栓音。
飲み口を唇に押し当て、喉まで流し込む。
ごく、ごく。
まずい。
口に広がる甘美な不味さを味わいながら、自室へ戻る。
今から何もしないのに、飲んじゃったなぁ。魔剤。
寝転んだソファーの上から窓の外を眺める。雨は既に止んでいた。
元々、今日は友人と遊ぶ予定だった。
でも、仕方のない理由でその予定は無くなった。
もうどうしようもなく仕方のない事だったから、遊べなくなったのは気にしてない。
気にしてないけど、まるまる予定が無くなったのは事実で、結局、友達と遊ぶ時間は昼寝の時間に充てられてしまった。
起きたけど、何もする事がない。でも、エナジードリンクを飲んだ。
でもなんで、エナジードリンクを飲んだら何かしなければいけないのだろう?
何もしなくてもいいじゃん。別に。
……
なんで何かしなくちゃいけなくなったんだろう。
Vtuberになってから、とにかく何か活動をしておかないと落ち着かなくなっていた。
そうしないと、ファンは離れていくし、ライバル達とはドンドン差をつけられていく。
創作活動をしているなら当然のことなんだけど、いつしかそれが「癖」として身体に染みついていた。
別に生きていく上では困らないのに。
そんな事考えながら無理やり何かを生み出すのは、不健康な事だから辞めた方がいい。
けど、エナジードリンク、飲んじゃったんだよなぁ。
本来なら、この考えが浮かんだ時点で休業日になる訳だけど、強制労働ドリンクことモンスターエナジーを飲んでしまった以上、何かしなければならない。
その結果がこの山も落ちもないつまらない日記になってしまったのは、無理矢理何かを生み出した結果だと思うと、戒めには丁度いいかもしれない。
そうこうしているうちに、エナジードリンクの缶は空になっていた。空を見上げると、眩しいほどの青空が広がっていた。
今日はもう休業、明日また頑張ります。
こんなにしょーもない事で悩むのならば、もうエナジードリンクは飲みたくない。